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■阿部選手が家族と再会
2011.04.07
全日本選抜体重別選手権初優勝
世界大会メダルに意欲/
 3日に福岡市であった全日本選抜体重別選手権・女子63キロ級で初優勝した石巻市出身の阿部香菜選手(22)=東北高出、三井住友海上=が5日、東日本大震災で被害を受けた石巻市鹿妻南の実家に帰省、無事だった両親ら家族と再会を喜び合った。同選手権は、柔道の世界選手権代表選考会を兼ねており、日本代表になった阿部選手の活躍は古里の被災者たちにも元気をあたえた。阿部選手は夏の世界大会でのメダル獲得に意欲を示している。

 実家は1階が津波で天井近くまで浸水。両親、祖父母、姉夫婦、妹の家族7人は、家や職場から何とか避難して全員無事だった。3日間ほど近くの親類宅に世話になった後、自宅に戻った。水道、ガス、電気が止まったままで、2、3階での生活を余儀なくされている。

 阿部選手は7日までの休暇予定で、会社の車で送られてきた。実家に着くと、玄関で家族と無事を確かめ合うように抱き合って泣いた。

 阿部選手は「家族の顔を見られて安心した。石巻の被害をニュース映像で見て、すごく心配だった。実際に被害を見て、さらに衝撃を受けた」と話した。

 津波があった3月11日、阿部選手は東京で強化合宿中だった。4日たっても家族と電話がつながらず、練習も身に入らない状態だった。5日目にようやく父で建設会社経営の進さん(55)の携帯電話と連絡がとれた。

 進さんの「家族は無事だから大会に集中して」という言葉に気持ちを切り替えて臨んだという。
 強い気迫で挑み、準決勝では昨年の世界選手権2位の相手に逆転勝ち。決勝では昨年9月のワールドカップ(W杯)タシュケント大会を制した谷本育実選手(コマツ)に優勢勝ちし、見事に栄冠を手にした。精神面の強さも増した。

 阿部選手は「大震災に遭った家族のために戦った特別な大会だった。良い報告をして元気づけ、笑顔が見たいという思いで頑張った」と話し、表情を和らげた。

 優勝の知らせに大泣きしたという母みや子さん(55)は「津波で私の携帯電話は水没し、通話できず心配掛けた。よくやった」と娘をたたえた。
 進さんは「会社も津波で被害を受けたが、香菜の頑張りを大きな励みに再出発ができる」と語った。

 阿部選手は実業団に入って5年目。内股を得意技とする。昨年2月のW杯ブダペスト大会で63`級を制するなど成長を遂げている。

 今回、初出場を決めた世界選手権は8月23〜28日、パリで開催される。古里の被災者たちのためにも健闘を誓う阿部選手は「今からが勝負。挑戦者としてどんどん前に出て、負けない柔道をしてメダルを取りたい」と抱負を話す。
《写説》

【父の進さん(左)、母のみや子さん(右)ら家族と再会し、笑顔を見せる阿部選手(中)=石巻市鹿妻南】
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