| ■50年前「白鯨仕留めた」 |
2007.07.06 |
元捕鯨船砲手石巻の梅宏さん
体長10メートル、雄のマッコウ
孫に伝えた体験で浮上/
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小説の中でしか存在しないと信じられていた白鯨を五十年前、大洋漁業の捕鯨船で砲手を務めていた石巻市立町一丁目、梅宏さん(七九)が仕留めていたことが分かった。日本鯨類研究所(東京)が研究者向けに発行した「鯨研通信」(一九五七年七月号)に掲載されたが、一般に知られることはなかった。七日に石巻市で開幕する「全国・鯨フォーラム2007」に関連し、梅さんが孫に話した体験の中から埋もれた事実が浮上。「白鯨伝説」は半世紀を超え、事実となって語り継がれていく。
鯨研通信などによると、白鯨が捕らえられたのは五七年四月十九日。大洋漁業所属の捕鯨船第3関丸が北海道厚岸東方約三百三十キロ沖で発見し、梅さんが捕鯨砲を命中させた。体長約十メートルの雄のマッコウクジラだった。全身が真っ白で、すぐに同社の厚岸事業所に運んで解体し、一部を保存したという。
マッコウクジラは高齢になると頭部や腹部の一部が白くなるのもある。しかし、捕った白鯨は全身が真っ白だった。脳皮の断面にも色素がなかったことから、突然変異によるアルビノ(白子)だった可能性が極めて高いとみられる。
梅さんは当時の状況を「厚岸を出航して十五時間ぐらい経過した時だった。白い尾を海上に持ち上げ、潜ろうとしている鯨を発見した。小さなマッコウクジラ五、六頭分の値打ちがある巨大なマッコウクジラだと思った」と振り返る。
ほかの鯨に構わず、白鯨を三十分ほど追尾した。しかし、浮上してこない。同時に発見したマッコウの群れは第3関丸から遠ざかっていく。白鯨をあきらめて群れを狙うことにした。七頭を捕ったところ、白鯨が現れた。梅さんが構えた捕鯨砲の照準は白鯨に定まった。もりはロープを引いて白鯨に突き刺さった。
梅さんは「出航する前、映画『白鯨』を見てすごいなあと思ったが、実際に遭遇するとは思わなかった。洋上から会社へ”白鯨を捕った”と打電した。会社は白鯨と聞いても、実物を見るまでは何のことか分からなかっただろう」と語る。
梅さんは四三年十月、海軍航空隊に入隊し、偵察員として航法、通信、射撃などの訓練を受けた。終戦後の四六年四月に大洋漁業に入社し、捕鯨船の乗組員となった。二十六歳の若さで船長兼見習い砲手となり、南極海で二十二回にわたる操業を経験した。
白鯨を捕獲した話は、捕鯨船仲間にも話したことがない。鯨フォーラムに関連し、孫と話す機会があり、孫だけでなく妻や娘たちも白鯨を捕った話に驚いたという。
商業捕鯨の再開について梅さんは「マッコウクジラやナガスクジラはもう少し捕獲を先送りする必要があるだろう。しかし、沿岸のミンククジラなどはある程度捕獲しても問題がないほど増えている」とみている。 |
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